麦藁手

hirunesai2012-02-17

夜勤最終日ぃ〜

目っ茶不調

やり残してしまった仕事を

居残りさんで片す

まあ、別に無理にせんでもええんやけど


30分オーバー(もちろんサービス !)で

仕事をオエ、家には向かわず、そのままそのあんよで、総社へ

総社で水汲みをすませ、更にそのあんよで倉敷

車中仮眠

外は凍えるほどの冷たい風が吹いてるけど

日差しの差し込む車内は結構寝心地が良い


fish (うお! またはぎょ)

気が付けば15時前

蔵のゆでしとっ風呂浴びて

美観地区へ

お目当ては工房IKUKOさんで開催されている

瀬戸本業窯 水野半次郎・倉敷緞通 瀧山雄一 二人展

本日は水野半次郎先生と奥様

それから八代目後継予定の水野雄介先生が在廊されています


工房IKUKOさんへ入り2階へ

おーぅ

早速に三彩の奇麗なお皿が目に止まる

天目の抹茶碗や緑釉の大皿も素晴らしいです

実は約5年前と4年前に瀬戸本業窯さんにお邪魔させて頂いているので

初見ではないのですが、あらためてその美しさ、素晴らしさに

もう、感心しきり

余計な言葉は要りません

温かみのある美しい器です


器には釉がたっぷり目に掛けられていて

その釉がお皿の中央や茶碗、酒器などの見込み

あるいは高台脇などで釉溜まりとなり

宝石のような美しさを見せています


お店の方が水野先生から伺った話なのですが、と

少し説明をしてくださる

最近では原料の入手自体が難しいのだそうです

卯の斑釉などに使う籾なども

籾ならばどんな籾でもいい、というものではなく

その籾が育った場所の土の状態で違ってしまうのだそうです

土に石灰を混ぜたりしただけでも変わってしまうのだそうです

その上原則的に瀬戸で採れるものを原料にされているので

本当にもう、大変ですね

でもそこまでの誠実さがあるから

こんなに奇麗な色が出るんでしょうねぇ


因みに4年ほど前に体験で仕上げて頂いた自作の三彩も

とても奇麗です

使っているうちに、どう言うんでしょうね

釉の潤いが増すというか色味がしっとりとしてくるんです


瀬戸の伝統的な形なんですと水野先生


一つひとつ見て廻る

やっぱりお皿がすごいなあ

奇麗なだけでなく、殊に大皿は壮麗さを感じるものも


蕎麦猪口を見ていると雄介先生が声を掛けて下さる

木賊の蕎麦猪口と麦藁手の蕎麦猪口

麦藁手の赤い釉が触ったときに少し盛り上がっていたので伺う

赤い部分は赤らくと呼ばれるもので描かれていて

その赤らくは瀬戸の近くの水源地で採れる物だとか

釉薬というよりは土に近い感じのもので、筆で描くときに

普通の釉薬のように、すーーという感じには描けないので

盛っていくように描くものだそうです

同じ麦藁手でも他の産地のものとは違うのだそう

なるほど、それで手触りも違うのか。納得


瀬戸本業窯さんで赤らくを描かれるのは

現在70歳を越えられた職人さんお1人

後継者も育てられているそうですが

後継者を育てつつ、その後継者を養っていくのは大変なことです

と、仰られていました

そうですよね、後継者の家族も養っていかれることになるのですから

生半ではできません


瀬戸本業窯さんの木賊手、麦藁手などは

白洲正子さんが愛用されていたことでも有名ですが

その影響もあってか、一時期

蓋付きの‘御飯’茶碗が、5客で

30数万円という値段だったこともあったのだとか


緑釉は所謂織部なのですが

瀬戸の地では織部より昔から緑釉が使われていたので

緑釉と言われているのだそうです

ただ話の流れで、そのまま織部という時もあるとか


結局緑釉のお皿などと少し迷いましたが

折角なので、赤らくで描かれた麦藁手の蕎麦猪口を頂くことに

5250円です


半次郎先生、奥様、雄介先生の御三方とも、敢えて

御自分の方からは声をあまり掛けないようにされている御様子でした

実用の器、民芸の作り手としてのスタイルだからでしょうか

逆にいろいろとお話を伺いたいという方は、気軽に声を掛けられては

と思います。御三方とも喜んで説明して下さると思いますよ


今日も実際にお話を伺っている折のこと

話の区切りの良いところで

それでは拝見させて頂きます、と言うと

つい、お話し過ぎてしまいました。すみませんでした。

と、雄介先生が頭を下げられる

(え!? 汗) と、こちらが逆に吃驚してしまう

という一幕もありました

そのときは驚いたままで何も言うことが出来ませんでしたが

いえいえ、とんでもありません。

分かり易く丁寧なお話ありがとうございましたです


帰宅後早速に頂いた蕎麦猪口で一服

うーん、この赤らくの落ち着いた橙色

好いですなあ

この赤らくを粉引きの化粧土みたいに使った

赤らく色の器とかも好いかもなあ、と

にやにや妄想


水野半次郎先生、奥様、雄介先生

それから工房IKUKOさん

本日はありがとうございました