その人にとっての森羅万象

岡潔先生の 「 春風夏雨 」より引用

 

現代は他人の短所はわかっても長所はなかなかわからない、

そんな風潮が支配している時代なのだから、

学問の良さ、芸術の良さもなかなかわからない。

      - 中略 -

教育というものは、ものの良さが本当にわかるようにするのが

第一義ではなかろうか。

                   ( 16頁より引用 )

 

メロディーがその人のすべてであり、その中に含まれているだけの大我しか

その人にはない。

      - 中略 -

いま弾いている音楽がその人にとってのすべてであるとすれば、

その中に表現されている森羅万象がその人にとっての森羅万象なのである。

                   ( 19頁より引用 )

 

岡潔先生の「 春風夏雨 」が著わされたのが1965年

それから半世紀が過ぎ去ってしまったわけだが

ものの良さもなにももう、自分のごく周りだけの

わかりやすい上っ面のことばかりで

その中に表現されるのは森羅万象の欠片も見当たらない、

損得に塗れた人工の自然ばかり、である