安田龍彦さん窯出し展示 令和元年 & 澁田寿昭さん個展

お二方から案内のハガキを頂いたときは

吃驚 !

まさかのダブルブッキング ! !

嬉しい悲鳴です !

 

10時半前佐伯の安田龍彦さんの自宅工房に

今回は平成~令和に焚かれた窯で

上がりが五月一日とのこと

先客に一組の御夫婦

挨拶の後、早速に拝見

拝見しているともう一組御夫婦が来られる

 

さて、まずは当然に酒器 ! です

還元、所謂コロガシの色味が好い ! !

それから黒く焼ける土の黒い部分のクリア感と

乳濁気味の胡麻の部分の対比がとてもいい塩梅 ! !

安田さん曰く

今回は窯の中の上の方の温度が上がり過ぎてしまい

下の方がいつもより還元気味になりました、とのお話

下側に詰め過ぎたのが原因だと思います、とのこと

成程、それでいつもの窯 ( 安田さんは酸化焼成がメイン ) よりも

コロガシの色味が少し強めに感じられる、と

それと黒く焼ける土のクリア感と胡麻の乳濁は

二度焼きにしたから、だそうです

( もちろん全部ではありません。以前の窯で

   胡麻のカセていたいくつかを   二度焼きにされたとのこと )

それとこれは余談ですが、結婚式の引き出物を

窯の上部に詰めていたのでぶくが出てしまい

数が足りるか如何かちょっと焦られたそうです

大変ですね

 

酒器の後全体的に拝見

先述の通り今回の窯は所謂コロガシの色味が良く

殊に花器 !

コロガシの花器で好いものが幾つも見られましたし

コロガシでない作品で少し大き目の花器も中々に

あまりお華の方は分からないのであれなのですが

色味と少し落ち着いたトーンがお花に合いそうで

とても良いと思います

個人的にはカセた白胡麻の掛け花入れがとても気に入りました

それから、少し意識して作りました、と仰られる通り

形、大きさ厚みのヴァリエーションも増え

これに焼けの違いが合わさるので

選ぶ楽しみ ー 特に食器類は ー が増えておりました

また定番の象嵌は今回少なめだった気がしますが

デザインに少し抽象的な雰囲気が加わり

今迄のものとは少し違う雰囲気に仕上げられていました

女性にはこちらのタイプの方が

好まれる方が多いかもしれません

実際に二組の御夫婦の奥様お二人は食器を真剣にじっくりと

ご自分が気に入られるものを選んでおられたようです

 

さてさて、今回頂きましたのは

黒の肩衝徳利と鶴首の徳利それから焦げの盃

黒の肩衝は前記した二度焼きのもの

形も良く艶やかな黒と乳濁した胡麻の対比が好く

殊に玉垂れの部分はムーンクオーツか

ミルキークオーツの様になっていて

天然石好きなオイラには凄く嬉しいです ! !

底の仕上げも一手間入れてあり濃い紫蘇色も中々 !

鶴首はたっぷりと掛かる黄胡麻胡麻も然ることながら

首のカセ胡麻 ! !

何とも言い難い質感とグレイッシュブルーが堪りません

それから底の美しい目跡と土味、濃い茶胡麻と緋色  ! ! !

盃は濃いグレー~青味を帯びるグレーで

そのグレーが所々に少し紫~ピンク掛かっているもの

少しばかり黄胡麻の隈取も見られ

ボタの緋色に乗るねっとりと光る緋襷も

渋さの中に華やぎが感じられます

ねっとりとした土味も好く

中々に存在感のある色味です

徳利が 10000円と 8000円

杯が 3500円ですが 1割引にして下さり

3つで 19300円にして下さいました

すみません、ありがとうございます

 

今年はまた大阪で個展を開かれるとの事

頑張って下さい

安田さんありがとうございました

 

一度帰宅して今度は岡山に

コインパーキングに車を停めた頃には本降りの雨

少し歩いてアンクル岩根のギャラリーさんへ

本日より開催される澁田寿昭さんの個展

Gravity ‐ 重力、質感 ‐ に伺う

 

少し作品を拝見して色々とお話を伺う

最近は少量で窯を焚かれることが多いとのことで

ここ数年はフランスとの交流

今年後半には台湾での個展

またインスタなど SNS 経由での外国のお客様との遣り取り

など、ご多忙の御様子

インスタを見たお客様の求めで作品が欧米は元より

ドヴァイなどにも渡って行かれるのだとか

不思議な世の中だ、と笑っておられました

 

インスタの作品を拝見して鎬が穏かな感じになったように

見受けられたので伺うと

歳を取ったから ? と笑われながら

その実は複数回の焼成に因るとのお話でした

実際に銀彩の作品などは窖窯で 2~3度焼き

更に銀彩を施し、またラスター処理をするものは処理をして

電気窯で 250℃で焼成されるとのこと

一つ一つの作品に凄い手間が掛かっています

 

長くお付き合い下さるお客様の為に

フォルムや大きさ、景色などを含めたデザインなど

常に新しい変化を求められ、また求めて

素人には及びもつきませんが

作家としてのご苦労と作家冥利

といったところでしょうか

ただしそういった中でも基となる技術の

更なる追求もされながらです

 

文化的なヒエラルキー

その中の備前焼

 

アフリカの最先端の文化

アフリカの文化と聞くと

何とはなしに、よい意味で土俗的な文化という

イメージがあるのですが

最先端のアフリカの文化というのは

少し気になりますね

ネットで見ただけですけども

スルマ族やムルシ族の天然素材のカラフルなメイクは

とても美しいですし

スカリフィケーションはちょっとあれだけど

 

東洋と西洋

その二つの源流は

もしかすると中央アジアの古い文化 ?

確かに  G.W. に MIHO MUSEUM で見た

イラン辺りの文化も中々よかったですからねえ

古代ペルシアの辺りのものも

洋の東西を問わずに文化が洗練されてくると

どうしてあの生き生きとした明るさ、健やかさが

見られなくなるのでしょうか ?

 

茶の湯は元々進取の気性に満ち満ちていた

見立てと作為の無作為

優秀なコーディネーターとそのコーディネーターが

確立したスタイル

それは現在でも変わらない

 

小振りな作りの軽やかな徳利達や

自然練り込みの大鉢と迷いましたが

銀彩の鎬の酒器を頂戴しました

16200円

澁田さんのインスタにも上げられているものです

表面に月のクレーター様のものがある銀彩酒器

鎬面毎の銀彩の変化

高台などのラスターの煌き

何よりも酒器内部に広がる

独特な銀色の世界が堪りません

 

強い雨の中御二方に表まで見送って頂き

ギャラリーを後にしました

アンクル岩根さん、澁田さんありがとうございました

 

 

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