麦 ( 飼い猫 ) が亡くなって 1週間ほど
なにやら負けん気は強いが、根はまじめな猫やった
家に来たのが2009年の 5月か 6月くらいかな
まだ仔猫やったから 4〜5年で他界
子猫の頃、ミーにずっと纏わり付き
イラついたミーに、ぱこーんと頭を殴られ
キョトンと驚いていた
なにやら、へへ、チョロイぜ みたいな顔付きで部屋に入って来て
目測
どうやら、今まで飛び上がれなかった高さにまで
ジャンプできるようになったので、あちこちで試している様子
ジャンプ !
お ! 確かにこれは届きそう
だけどその飛び乗ろうとしているのは調味料やらが置いてある棚
引っくり返されたりしたら敵わないので
宙に舞っている麦の身体を右手で、ヒョイ っと手前に寄せる
当然、目測をしたところにピタっと着地できなくなり
そのまま床に着地
え ! なんで ?
少し混乱しつつ、恥ずかしそうに部屋から出て行った
ある日 表に出ると
カーポートの上で麦が蹲っている
カーポートの上に登ったのはいいが、降りる算段が出来ずに
怖くなってしまい、動けなくなったらしい
隣家の物置の屋根→塀と降りればなにも問題ないのに 笑
近くに行って、隣家の物置の屋根を叩いてやる
合点がいったらしく物置の屋根→塀と降りてくる
毎日顔を会わす訳ではないが、成長していくのを見るのは嬉しいものだな
そんな麦が変わってしまったのは、去勢をしてから
自身に起こった身体の変化に混乱してしまい
その変化を受け入れられない、というよりも
強く拒否しているように見えた
その日からの麦は
膨大なストレスと混乱、自身の身体への拒絶の中で生きることになる
外にでも出ればストレスの逃げ場もあるのだろうが
猫依存で自分の支配下に置いておきたい親父が
偶にしか外に出してやらない
トイレのドアに ‘ 猫を外に出さないように ’ と張り紙まで貼る始末
以前、ミーに逃げられたように、逃げられるのが恐ろしくて仕方がない
ただ自分の弱さを無理矢理に支配下に置いた一匹の猫に押し付ける
猫のことなぞ考えてはいない
そのまま月日が流れて行くが
日々のストレスと身体への拒絶はなくなることはない
混乱は少しずつ影を潜めていくが
その代わりに言いようのない諦めを抱えなければならない
大人しくなった、ではなく削ぎ取られた 生
亡くなる日、愉気のまねごとをしてやった
普段からそんなに顔を会わせる訳ではないが
普通に撫でたりするよりも愉気のまねごとを好んだ
やっと自由になれるんだな、と思ったが
自由と生は切り離せないのではないかと後日思った
せめてやすらかに