萌木窯さん !

hirunesai2015-12-30

6時過ぎにマンガ喫茶を出る

荷物を減らす為にコンビニで宅配便の依頼をして

竜王駅へ


荷が軽くなり気持ちが弛んだのだろうか

改札を通る時、ついうっかりと

18切符を出してしまう

あ、と思った時は後の祭り

今日は18切符を使わない予定やったのに・・・

本日の移動予定は

甲府清里甲斐大泉甲府

甲府に戻ってきて、そのまま甲府で泊まる心算やったので

予定の移動費は2032円

18きっぷ 1回あたりが2370円

まあ今更しゃぁあんめぇ

つか、元は十分に取らせて頂いてるしの   笑


電車に揺られながら、まあ今日は長野まで戻るかと決めて

車窓に見える富士山を眺める

広がる雲海から至極当たり前にその頂を出す富士の御山

極自然に大らかで、極自然に堂々とした御姿


小淵沢小海線に乗り換え、8時過ぎに清里に到着

高原地の太陽だなあ

例年なら雪が積もっているはずなのに、ここ清里においてもまったく

駅から見える富士の姿を暫し眺めた後

体験予約の10時迄散策


10時前、萌木の村の萌木窯さんに伺う

一階のギャラリーで体験料 4600円 ( 発送料込み ) を先にお支払いして

三井康生先生御自身に案内をして頂いて二階工房へと


体験スタートです

土は美濃の瑞浪の土

一昨日の松代陶苑さんでも瑞浪の土で体験をさせて頂きましたが

とても作り易い土です

( 瑞浪の土といっても同じ土なのかどうか、また土の仕込みの違いも

 あるので一概には言えないのですが、まあざっくりとした感想です )

焼成は灰が釉に掛からない様にとガス窯での焼成だそうです

体験での釉薬は藁灰釉

御本が出ることもあるそうなので楽しみです


三井先生は

美濃の伝統を受け継がれた先生に師事をされた為

確りとした技術と素材を見て取る目を持っておられるお方で

天然の素材、特にその土地の素材に対する拘りを持って作陶しておられる

山梨は伝統的な焼き物がないとのことなので

土の方はコンスタントに土地の素材という訳にはいかないが

釉薬は山梨で栽培される葡萄、桃、桜桃、李などの

果樹の灰から作っておられ、葡萄の木の釉薬などは

当に葡萄色 ! とでも呼びたくなるような

先生独特の色合いと質感の釉に仕上げておられます

勿論、始めからこのような色が出るはずもなく

釉溜りの中にほんの少しの色を見られ、それを手掛かりに出された色で

また先生はそうした確りとした技術、素材の上にこそ

本来の自分の表現が乗せられるものという考え方でいらっしゃり

御自身の表現は、釉薬です と仰られる

そういったお方であるだけに

作品に自分が出てしまうのが辛い、と恥ずかしそうに仰られ

猶、そういうやり方でやって来て、今は良かったと思えます と言われる


伝統的な技術

誤解を招く言い方かもしれないが

本来それはそれぞれの素材に合わせた技術であると同時に

使う者の為の実用の技術でもあろう

きちんとした物が作れて初めて本来の表現が出来る

樂家の当代は、伝統的なきちんとしたお茶碗を作られ

その上で批判も怖れずに自分らしい表現のお茶碗も作られていて

恰好が良い、男気のある表現だと思います、と言われる

そのようなとき、不図憧れを語る少年の様な雰囲気が

ほんの少しの間だけですが、先生の内から溢れられる

体が大きくなり、一端の社会人になれば大人になったと思い込み

大人になる為には当たり前のように自分の大切なものを捨てる

捨てるだけなら本人の自由ではあるのだが

人の大切なものまで大人顔で貶め詰る

いつから日本人はそんな風な生き方を平気でする様になり

また先生の様な素敵な大人が少なくなってしまったのだろうか

嘗ての日本の道具は文化を守り育てる ‘ 型 ’ でもあった

伝統的な技術を受け継いでいくということはやはり

その心も受け継いでいくことに他ならない



先生はこの様な御自身の考え方や想いに関しても

師事された方の影響だと思います、と素直な言葉で述べられる

その言葉の響き、佇まいには、そのお師匠様に対してはもちろんのこと

その師との間に頂いた御縁に対しても

極自然に深く感謝されておられる御様子


体験作品を高台削り迄させて頂きたい旨お願いすると先生自らが

ドライヤーで乾かして下さる

しかも 4つ作らせて頂いたのですが、その 4つともに

その乾かして下さる時の、過不足のない雰囲気

そのお姿は接客やサーヴィス精神だけではありえない

厳しさを知るやさしさ心遣い

自分への、相手への、素材への


形だけを追えば表面だけを浅く移って行くばかりになってしまい

深みが出ない

美術館で見ているとき、当時の職人の動きが見えることがある

飲み口がぼろぼろの限界になるまでに大切に使い込まれた

光悦のお茶碗の美しさ

初めて良い土を使いお茶碗を作り、仕上げをした時の感動

三井先生のこうした想い、御経験、考えを伺っている内

白洲正子さんの

衆生来迎図の作者は本当に仏を見たのだ。だからこそ人を感動させられる

という意味の文を思い出す


体験終了後、再びギャラリーに戻り葡萄の木の釉の作品を頂く

三井先生、萌木窯さん ありがとうございました


その後、萌木の村を少しだけ見て廻り

14時前の列車で甲斐大泉

パノラマの湯で雲に浸かる富士山と一緒にひとっ風呂でのんびりとした後

16時前の列車で再び甲府に戻り、甲州夢小路の葡萄屋 Kofuさんに向かう

お土産用のレーズンサンドを買う為

美味しいよ、ここのレーズンサンド

アーモンドパウダーだと巨峰と少しぶつかってしまうので

カシューナッツを使用されているのだそうです

葡萄の中では巨峰が一番 ! と思っているオイラには堪らぬ逸品ですよ


その後駅ビルで弁当やおでを買う

丁度見切り品になっていたので  笑

それから ザ・マッカラン 12年を購入


18時過ぎの電車に乗り

21時頃長野に到着

今宵もマンガ喫茶