安田龍彦さん窯出し展示 ’ 16

hirunesai2016-10-09

1時前に道の駅越前を出立

仮眠を取ったりで

お昼過ぎになんとか

和気迄帰って来る

お邪魔したい旨電話をさせて頂き

14時前に安田龍彦さんの自宅工房へ


安田さんに迎えて頂く

先客にはご夫婦が一組おられる

お互いにパートナーとして認め合っておられる感じが

雰囲気として伝わって来る素敵なご夫婦で

自分の欲しいものを選び、互いに相談し合って

楽しそうに選んでおられる


早速に酒器を拝見していると

奥様がお茶を出して下さる

安田さん共に奥様も相変わらず若々しくていらっしゃる


今回の窯は冷ましの期間に気を遣われたとのこと

一部大物の冷め割れ防止だそうで

また冷ましの期間によって貫入の入る入らないの違いもあるそうです


暫し徳利を中心に拝見

悩ましい

嬉し悩ましな悲鳴

胡麻がたっぷりと乗ったものが多いのですが

今回の胡麻はいつものものよりも

力強く勢いがある

物によっては作品にたっぷりと掛かった胡麻が

力強く暴れまわっている様にも見えるし

飛び胡麻などはその勢いと相俟ってとても美しい

色味もクリアなものから乳濁しているものまでと

いつにも増して幅が広い

殊にコロガシのものなどは、前回よりも囲いの隙間を

ほんの少し広めに取っただけなのに、前回とは真逆、といってもよい程の

濃厚で面白い灰被りの胡麻となっています


4つ欲しい

徳利を 4つ頂きたい   笑

予算的に絞り込まなければいけないのは分かっているのだが

困ったことに 4つから絞り込めない

まず、被せの鶴首

抜けの部分の、ほんのほんの少しだけ青味掛かる白さに

確りとして艶やかな緋襷が映え

胴のところの明るく濃い茶胡麻との対比が、また

互いを際立たせ美しい

膨らみ部分だけで見ても被せの際に飛ぶ華やかな黄胡麻と

茶胡麻、緋色の取り合わせ、グラデーションが

品の良さを感じさせてくれる

この品の良い景色に すっ、としたフォルムが申し分なく

各所のヴァランスも極まり

安田さんご自身が、鶴首は首のラインが難しいです、と言われる

そのラインも胴の膨らみから素直に伸び

そのまま注ぎ口ですっと受け止めていて

とても美しい


それから瓢の徳利が 2種

一つは従来の安田さんが作られておられる形の瓢

全体的に濃厚で多彩な胡麻がたっぷりと掛かり

釉薬の様なガラス質となっている

然しながら形自体はスマートなもので、全体から受ける印象は

気品がある

もう一方は生成りの部分に美しい緋色、緋襷

一陣の風と共にキラキラと舞う花吹雪の様な茶色の飛び胡麻と

藁が融けた糸胡麻の曲線が見所


そしてもう一つは、コロガシの白胡麻たっぷりの蕪徳利貝目跡付き

安田さんの定番ですが、今回のものはクリアな胡麻は一段とクリアに

乳濁部分も弱冠ですが明るめで一段、美しく

流れる胡麻が全体的に穏かな感じで

穏かなのですが、静かな勢い、大きな川のゆったりと流れる様な勢いが

感じられます

貝の目土の高さのヴァランスが少しだけ悪かった為、その部分に

少しだけ歪みが出てしまって、と安田さんは仰られていましたが

個人的には寧ろ好ましい歪みです


悩ましい

ぐい呑みはほぼ決定済みで

徳利の値段次第で 2つ頂くのかあるいはもう一つ頂くのか

2つの内の 1つはコロガシの灰被り

明るめのグレーに黄、茶、焦げ茶、深緑掛かる黄、と豊かな発色

しかし、一番の見所は、抜けの生成りの部分

この生成りと濃密な茶、焦げ茶の隈取りの組み合わせがとても美しい

ザ・土味 !

もう 1つは鎬の白胡麻

従来にはなかった口が反った形のもので

安田さんに確認はしていないのですが

鎬の入れ方も少し変えられたのではないでしょうか ?

デザイン的な変化、というのはもちろんのことですが

より深く鎬を入れられて持ち心地の軽さに気を遣われ

鎬の位置も反った飲み口と相俟って、ふわ と持てる

持つというよりも、指に乗せているという感覚になる様に作られており

デザイン、使い心地の両方からの変化に取り組まれたものだと思う

自身の技術を一つ一つ磨き重ねていき、だが

その技術に囚われ過ぎることはなく、使い手の目線を忘れずに

ぎりぎりのところで昇華していかれる

これを頂かぬ手はないのである


迷いに迷わされた挙げ句に

なんとか徳利を 2つに絞り込む

被せの鶴首と白胡麻の蕪

鶴首は実は、以前から安田さんの鶴首を頂こう、頂こうと狙っていて

今回のものが好みで良かったので

( 今、目の前に置いて日の当たる抜けの部分の美しい白さとその土味に

 惚れ惚れとしています  笑 )

白胡麻の蕪は以前にも 1つ頂戴しているのですが

今回のものは、持ったときに

あ、軽くなってる ! と気が付いたのが、最終的な決め手となりました

単純に薄くなって軽くなったのか

重さのヴァランスを変えられて軽く感じる様にされたのかは

伺ってはいないのですが、実際に家で以前の作と持ち比べてみると

やはり、軽くなっておりました

もちろん前述のように、今回の窯の胡麻、焼けの良さ

ということも当然にありますし

胴の張りも良くなって、ということもあります


ぐい呑みは前述の鎬の白胡麻とコロガシの灰被りと

もう一品頂戴することに

( 想像以上に白胡麻蕪徳利がお安かったので、と言いますか

 可也、お安くしてくださったので。貝の目跡の剥がれがあるとはいえ

 お安くして下さり過ぎて、お値段が書けません。

 安田さんありがとうございます、そしてお値段の気になられる方々

 悪しからずです )

頂戴したのは杯

赤く焼ける土ですが、安田さんの想いとは違って

少しピンク掛かるところのある明るめの紫蘇色のもので

思ったよりも還元が掛かったので、とのお話

緋襷も一部黒色となり、なかなかの存在感です


お値段は徳利が 2つ、ぐい呑み、杯が 3つで

1割引にして下さり、20000円強といったところです

蕪は勿論、鶴首も可也お安目で

ぐい呑みも焼けを考えるとリーズナブルです

備前焼まつりの前なので、始めから少し安目にして下さって

いたのでしょうか ?


お支払いの間に他の作品を拝見

食器、特にお皿、鉢類は形のヴァリエーションも増えて

デザイン、胡麻合わせて、お好きな方は選ばれるのに

楽しく苦労しそうです

また最近、意欲的に取り組まれているお茶関係も見ものです

古作、しかも陶器に拘らず色々な素材の古作のものを本歌とされていて

それだけでも面白いですし、勿論お茶器なので景色の良いものも多く

お茶をされない方でも眼福かと思います

個人的には、黒く焼ける土の煎茶器と長次郎のお茶碗に感じられて

手捻りで作られたお茶碗がお勧めです

このお茶碗は機会があれば是非に !

見込みの灰被りの胡麻とぼたの隈取りに現れた銀色の景色が

とても美しいです

備前焼まつりに行かれる方は是非


その備前焼まつりですが、安田さんの展示場所は恒例の場所にて

駅大通りを突き当りまで進み、右へ

ずうっと歩いていくと右手に土器ことよさんが展示をされています

( 今年もされることと思います )

その奥にある建屋の 2階です !

安田さんの作品をまだ拝見しておられない方も

安田さんの作品を既にお持ちの方も

幅広くヴァリエーションのある胡麻が多目

少し緋襷が強めに現れていて、抜けの白色、生成りの色の美しいものが多い

灰被りも胡麻が確りと掛かって融けている

黒く焼ける土の艶が良い

( 飽く迄個人的な感想です )

そんな今回の窯の安田さんの作品を

是非、ご覧になってみて下さい



安田さんありがとうございました