お盆に寄った日帰り温泉での話

 

受付けの子が可愛い

少し見惚れるくらいに顔を見る

客商売での慣れもあるのだろうが

嫌な風には思われていない感じだったので

暫し見惚れた様にその子の顔を見続ける

似ているというわけではないが顔の雰囲気が

寺田千穂さんのようなタイプで

犬顔系の可愛らしさ

 

 

風呂から上がる

まだ暑いので、上はタンクトップ

受付けに行くと先程の子が一人で

少し緊張した様な面持ちで

俯き加減にしている

 

 

支払いを済ませながら

再び見惚れるかの様に顔を見る

そして身体の方にも視線を移す

相手はこちらの視線を意識しているようだが

拒む気配は少しも感じられない

 

「 350円のお戻しです。ありがとうございました。」

京風のやわらかな言いまわしに愛らしい彼女の声が合っていて

とてもかわいらしい

お釣りを受け取りながら軽く頭を下げる

ここで初めて、彼女から視線を外す

 

すると彼女の方から、

先程の 「 ありがとうございました。」 と頭を下げたままの目線で

こちらの 腕、胸板へ  と快い艶っぽい視線

―  見遣るスピードや時間、想いの強さ、間 がとても艶っぽい視線  ―

を感じる

 

車に戻り

「 ああ、これが 粋 というものか 」 と感ずる

自分で自分のことを 粋 だな と、思うのは

確か初めてのことではなかっただろうか

 

互いが、男女のことのみではない

生きていく中での様々なことを、ある深さで知って

反する様々のもの、想い、状況の中で

互いの艶を心地の好いヴァランス加減の一点に一にする

控え目だが溢れる水際の強さを失わず

健やかだが深い悦びを求める想いを互いに微かに意識しあい

 

 

よくあること、ではあるのだが

同じに見えてもその中は

斯様にも異なる

 

刹那の恋心、ではあるのだが

大人の恋心