その土地に咲いた花

山の端が淡く美しい朝焼けに染まる頃

新庄に到着

暫しの乗り換え時間を挟み

秋田行きの電車に乗り込む

 

湯沢を過ぎ、十文字で下車

一時間程後のバスに乗り

20~30分程揺られ、川連で下車

バス停から少し歩き

平四郎こけしさんに到着

 

年の瀬も押し迫ったお忙しい時期に

無理を言ってお邪魔させて頂いたのにも関わらず

阿部木の実工人のお母様の陽子工人が

温かく迎えて下さる

木の実工人は用事で出られていらっしゃるとの事

本当にお忙しい時に申し訳もなく

また、ありがとうございます

 

早速にこけしを拝見

父君の平四郎工人のこけし

少しだけだがまだ置かれている

 

こけしについてあれこれとしらべていた折

木の実さんの FB や Twitterこけしを拝見した

見ている内に、へへへ  と笑いが込み上げて来た

何となく、不意に

更に拝見している内に、木の実さんのこけしには

詩がある、と思った

是非実際にこけしを拝見したい、と思った

 

拝見していると木の実さんが帰って来られる

母君の陽子工人は可愛らしく芯のある感じのお方で

木の実さんは大らかな温かい雰囲気をお持ちでいられる

お二人とも秋田美人

 

折角の機会なので木の実さんに一月にどのくらいのこけし

作られるのか伺ってみた

木の実さんの場合は伝統的なこけしよりも

創作こけしを作られることが多いので

中々コンスタントに数は作れないとのことでした

実際、木の実さんのファンの方も

創作こけしの方を好まれる方が多いそうです

 

確かにある意味では創作こけしの方が

よりストレートに、作り手の想いが伝わり易く

木の実さんのこけしを買われる方も

そこに魅かれているのかもしれません

木の実さん御自身も

こけしはその土地土地の自然を元に出来るものなので

と、仰られ

長い東北の冬を耐え、待ちに待った春に

生命溢れる花が咲くような感じを、そういうものを

お客さんが感じて下さっているのではないでしょうか

と、嬉しそうに仰られていました

伝わる、感じる

それは作り手にとっても

買い手にとっても大変に幸せなことだと思います

 

陽子工人の作られた可愛いこけしとも迷ったけれど

木の実さんのこけしを 2つ頂戴することに

石蔵型 ( でよろしいのでしょうか ? ) の子とえじこの子

8000円と5000円でした

木の実さんのえじこは絶対に ! と思っていたので

残っていてくれて嬉しいです

また石蔵型の方は木の実さんが

気に入っているものなので嬉しいです

と、本当に嬉しそうに言って下さったのが

印象に残りました

 

バスの時間迄まだ時間があったので

ご好意に甘えて少し本などを拝見する

父君の平四郎さんのことが書かれた記事や

それから、これは貴重なことですが

木の実さんの創案集も見せて頂きました

この創案集、とても素敵なもので

陽子工人のお許しの下に写真まで撮らさせて頂きました

本当に素敵なものでした

ありがとうございます

 

外に出ると雪は止んでおり

目の前に広がる冬の東北の空の青さと

降り積もった雪の白さのコントラストが

とても 美しい

冬の東北にも何度か来たことがあるのに

白い雪に覆われた厳しい東北の冬景色が

実は穏かで大らかな温かな一面を持っているのだ

と、いうことを 初めて知りました

 

本当にこけしというのは

その土地に咲いた花、です

 

 

f:id:hirunesai:20190113121550j:plain