情の裏打ちのある智

池波正太郎先生の鬼平犯科帳の一巻

血頭の丹兵衛、118頁より

( 引用ここから )

現代 ( いま ) は人情蔑視の時代であるから、

人間という生き物は情智ともにそなわってこそ

〔 人 〕 となるべきことを忘れかけている。

情の裏うちなくしては智性おのずから鈍磨することに

気づかなくなってきつつあるが

( 引用ここまで。現代の後の (  いま ) は振り仮名です )

 

現代では情の裏うちのある智どころか

互いがまったく別々の相反するものであり

しかもそれぞれがネット上、現実生活の上で

個々に暴走し始めている

と、言ったら大袈裟だろうか

情智ともにそなわっているからこそ

人間は矛盾を抱えていても

いや寧ろ矛盾を抱えているからこそ

〔 人 〕 として

成り立っていたのではないのだろうか