伊藤桂一さんの「兵隊たちの陸軍史」
120頁より
国境の一陣地から、前線へ数名の警戒兵が出された。
ところが命令を出した将校が、命令を出したことを忘れてしまった。
いつまでも交代が来ない。それで歩哨は適宜に判断して
陣地に引き上げてしまったが、東北出身の初年兵がいて、
これは引き上げなかった。東北兵は言われた通りを守るので、
餓死しても命令のないかぎりその場から離れない。
ところが敵の陣地からソ連軍の将校を先頭に数名の兵隊が出てきた。
ふいに出てきたのである。東北初年兵はどうしたかというと、
ソ連将校に敬礼している。将校には敬礼せよ、と教えられていたので、
敵味方なく敬礼したのである。ソ連将校が答礼していった。
もちろん身ぶりをまぜてだが、日本軍陣地に降伏したい、というのである。
案内してきたのである。捕虜にしたのでなく、案内なのである。
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一昨日の亡くなられた警察官の話で思い出した
東北の人の、純朴さと生まじめさ
もう一つ、拝見させて頂いている仲右ェ門さんのブログ
身体数寄 二〇四 当事者になる (3月30日) より
ここに住む人たちは声を荒らげて自己主張することはありません。
反論することも少ないです。しづかに耐え忍んで、受け入れ、
そしてゆっくりとうなずきます。どんなときも諦めないし、
そして笑顔も忘れません。
私は今ほど、東北を誇りに思ったことはありません。
かつてないほどの、生命、を感じています。
日本全土の悲しみを、新しい大きな力に変えながら、繋がり合って、
交わり合って、関わり合って、これからも東北人は
生きていくのだと思います。
ぜひ東北にいらしてください。きっと誰かが笑顔で待っています。
−−−引用ここまで−−−
東北の人のやさしい笑顔と
内に秘められながら
地面から湧き起こり大きく包み込んでいくような熱いエネルギー