安田さん窯出し

hirunesai2012-04-28

13時、安田龍彦さんの自宅工房へ

今日から窯出し !

今回で15回目の窯焚きです


工房に入り早速に拝見

おお

今回は大物が多い

焼けの良い壺、渋目の大皿

大皿のぼたの配置がまた好い感じです

この大皿が水を含むと・・うーん良いですねぇ

片口も焼けの良いものが多いかな

あと黒く焼ける土のビアマグ

格好よくて自分使い、プレゼントなどにお勧めです


安田さんの作品はいつもこんがりじっくりと焼かれているのですが

今回はいつもより胡麻が多い気が

安田さんにお尋ねすると

多分今回は(窯焚きが)1日長かったからじゃないかな、とのこと

あと、後ろの方も温度が上がったから、と

たしかにざっと見た感じだけど全体的によく焼けている


今回の窯焚きは強風の日があった

風除けのシートが風で窯の近くまで吹き込まれて

少しチリチリと焦げてしまったとか

薪をくべながら片手はシートを払いつつと大変だったそうです

それから強風で飛ばされた脚立が危うく直撃するところだったとか

手前にあった 1本の杭のお陰でぶつからずに済んだそうですが

危ないですねぇ

今回の作品で少し胡麻が内側に崩れたものはこの風の影響だと思います

と仰られていました


窖窯を焚かれている方に師事したことはないので独学で学ばれた

大きさや傾斜は勿論ですが、横くべのピッチでも大分違うそうです

安田さんの傾斜が緩めの窯は

酸化焼成でも、ぎりぎり酸化の辺りで焼きたいからなのだそうです

強目の酸化焼成ではなくぎりぎりの酸化焼成

因みに永末隆平先生の窯も傾斜が緩いと話されていました


温度の急上昇と急降下で胡麻が乳濁したり結晶化したり


大物を水挽きするときにきれを使う

手だけだと途中で水が切れてしまうから

それと細かい指の跡がつく為


お皿を挽くと薬指の爪が・・・

下に手を入れるときに轆轤で擦れてちびてしまうとか


昔、越前の輪積みの講習を受けたことがある


奥様に出して頂いたお茶といちごを頂きました

いちごが瑞々しくおいしい

禁糖中なのでまた一段と


安田さんの奥様は落ち着いた感じながら爽やかな感じの方で

安田さんの御自宅の雰囲気そのままの感じ

家の雰囲気というのはやはり奥方の影響が大ですね

女性は偉大です


因みに奥様、窯焚きも手伝われるとか

備前の焼き物屋さんは奥様方の支えが必須なのです


昔、雪の高速で 1回転したことがある


安田さんの酸化焼成

登り窯だと上に焚き口が付いていて下に空気の取り入れ口

薪を入れたあと焚き口を閉めるので空気の流入量が制限される

窖窯は下に大きめの焚き口兼空気の取り入れ口

この大き目の取り入れ口と煙突の引きで空気の流入量を増やし

十分な酸素量を確保する

なるほどぉ


窯焚きの意思疎通は必ず声を掛け合う


今回はぼたを乾かしてから乗せた


今回頂いたもの

徳利と酒器2つ

徳利は寝かせて焼き、全体に白胡麻の掛かった贅沢もの

白胡麻に貝の目跡、透き通る明るい茶胡麻がビードロになり

更に青や白茶に乳濁した玉垂れ、その玉垂れの上を結晶化した白い胡麻

本当に贅沢な焼け


酒器の一方は一昨年頂いた片口と同じ土のもの

去年この土で焼かれたコーヒーカップのソーサーが

すごく良かったのを思い出します

自然桟切りで黒〜灰色でぼたの抜けが落ち着いたオレンジに銀色の緋襷

桟切りの黒い部分にところどころメタリックな輝き


もう一方の酒器は腕のところで焼かれたもの

高温の為石が融けてなくなっている部分もあります

見込みの紫蘇色や焦げの黒は元より熾きの融けた紫、黄色、グレー

グレーでも黄色掛かるところに緑掛かるところ、青味を帯びるところと

多彩な彩り

高温で焼かれて少し失透した独特な質感の胡麻

放射状の針のように結晶化しているところも

凄い焼けです


徳利が10000円、酒器が5000円と3500円の計18500円を

17000円にして下さいました

その上に少し傷があるからとかガタがあるのでと

おまけまで頂いてしまいました

と、言いますかおまけどころの品ではありません

すみません、ありがとうございます


お支払い後も暫し拝見

お茶碗

黒く焼ける土の黒い器胎の上に透き通った綺麗な茶胡麻の玉垂れ

見込みにもほど良い胡麻、良いなあと思うのですが

安田さんの中では(お茶碗としては)まだまだなのだそうです


今回の窯のものではありませんが水指も好いのがあります

外は渋目の胡麻で渋い焼けなのですが中は赤味の強い焼けのものです

中に水が入り、差し込む光の下で見れば栄えると思います


ふと、鶴首の花入れに目が留まる

形のヴァランス、焼け、抜け、土味

綺麗

存在感というよりも綺麗

流石、今回の窯で一番と言われる作品

華道のか、どころか正反対の位置にいるオイラでも

花が生けられた姿を想像してしまう

大振りで、広がるような花の空間


窯焚きは15回目だけどまだまだ、と

窯焚きの度に気付くことがあり、失敗があるけど

それを次の窯に生かして、とすごく嬉しそうに話されていました

きっと今回の窯でも気付きや失敗があって

次の窯のヒントがあったのでしょう

来年も楽しみです


安田さんありがとうございました