澁田寿昭先生窯出し ’15

hirunesai2015-02-14

昼、家出

早く着いたのでマルナカさんで時間調整

14時前、澁田先生の自宅工房へ

挨拶の後、早速ながら拝見

今回は全体にシックな感じでしょうか

シックではあるけれど、地味ではなく穏やかな色彩

色の幅もしっかりと広い


今回は窖窯での還元焼成とのこと

勿論焚き方や薪のことがあるので

登りの還元焼成との単純な比較は出来ないけれど

所謂一般的に思われている、一昔二昔前の

備前の登り窯の暗い感じではなくほんのりと明るい感じがある


今回の薪は種類様々だったそうです

赤松に檪、楠や桜など

小さ目の薪も結構多くて横くべに一苦労されたとか

先生的には薪の種類が多い方が色々な色が出て良いとのお話

なので、胡麻、自然釉の質感もいつもより豊かに

ただ、色に合う形はまだ弱冠模索中とのことです


今回の胡麻はややマットな質感を狙っての上がり

それに合わせて土作りも耐火度を高目にされたと

先生らしい ‘ 反骨 ’です


今月末にパリ大学主催のフランスでの講演

1週間程の滞在で、展覧会も開催

備前焼の輸出です

前回とは為替のレートが変わっているので

ここでも一苦心


講演の内容は西洋陶磁器と東洋陶磁器の違い

また、そこに見られる美意識の違いなどを含めての

窯と素材としての土のお話だそうです

触りだけ聞かせて頂きました

まず、東洋では陶磁器にある程度の歴史的連続性、発展性が見られるが

中世辺りまでの西洋では民族、国家の入れ替わり拡大縮小消滅によって

文化的なものが一度消滅してしまったり

後退してしまったりしてきた部分がある

それから、日本などの道具としての美

使い込むことで増していく美、変わっていく美に対して

西洋ではアート

アート=鑑賞するもの、という美

アート=装飾の美

所謂小林秀雄氏や白洲正子さんの言われる

鑑賞陶器に近いものになるのでしょうか

ここからはオイラの私見になりますが

( といってもよく言われていることですが )

東洋でも西洋でも自然は美しいと感じる

ただ東洋、特に日本では出来るだけ自然そのものを

西洋では美しいものすら一度征服して支配下に置いてから

ということですかね

それとも西洋では美しい自然とアートは

全くではないものの、別物だということなのでしょうか ?


モノトーンの器

須恵器の様なグレーの器もありました

京都の料理人さんには好まれるそうで

料理人さんによっては、ボタですら

盛り付けの邪魔になるというご意見もあるそうです

魯山人氏と陶陽先生の器の違いかな ?

違うか ?

まあ何れにせよ料理門外漢のオイラには難しいことです

確かに、料理を盛り付けた時の魯山人氏の器は半端ないですものねえ


業界団体の存在感や役割


谷町的なコレクターは現在でも備前焼を支えて下さっている


備前の徳利などは青色が出た方が人気


ギャラリーをされている方が焼酎ボトルと

湯呑みを買っていかれる

湯呑みは割りとシンプルなもの

ちょっと狙ってたんだけどね   笑

早いもの勝ちですからね


前回に続き、といいますか今回は少しばかり数を増した

備前焼の磁器 ( という表現もおかしいのですが 笑 )

10個程度でしたでしょうか

本当に一つ一つ違う色の白

鎬の面毎に様々な白色の焼き上がり

備前の土を塗ればもっと色んな色が出せるとのお話でした

この意外な磁器の焼け色の豊かさ ― 白色のみではなく白以外でも ― や

磁器といえば焼成温度も1300℃くらいで高いというイメージは

先入観的といいますか、1230〜1250℃くらいでもいけるそうです

勿論何処の産の磁土かにも因る面もありますが

鎬の土の質感、灰の被り方、火の当たり方で

本当にヴァリエーション豊富でした


今回頂いたもの

胡麻たっぷり焦げの胡麻たっぷりで

とろっとコクのある緋色たっぷりの瓢の徳利


白〜グレー、濃緑〜黒の焦げの胡麻が

たっぷりとその外側に掛かっていながらも

抜け、内側は穏やかで淡い色味の酒器


濃い目の緋色にゆったりとした轆轤目

少し白味を帯びた黄胡麻がはらりはらりと掛かるお湯呑み


そしてころがしの磁器土鎬酒器

抜けと見込みの淡〜い緋色が好いのです


4点で 2万と500円のところを

1万と6400円にして下さりました

いつも本当にありがとうございます


支払いが済んだ頃に丁度、素敵なご夫婦が来られたので

お暇することに


澁田先生ありがとうございました