安田さん窯出し展示 ’ 21

10時頃、佐伯の安田龍彦さんの

自宅工房にお邪魔する

挨拶を済ませて

用意して頂いた指定席 ( 酒器前の ) に

腰掛け拝見する

 

今回は焼けの良いものが

いつにも増して少し多い感じで

自然釉の、特に玉垂れは、美しいものが多かったです

少しですが緑色の自然釉も見られ

薪窯ならではの幾層ものガラス質の美しさが

楽しめました

奥に展示されているお抹茶茶碗、鉢なども

良い焼けのものが多かったです

 

安田さんの面取りは

切るというよりも削る様にされるそうで

今回のものは緩やかな動きを感じられる面取りでした

面取りを変え、形を変え、窯詰めも変化し

ここ数回は焙りを長めにして

煙突迄 15m 程もの窯を 13日間も焚かれる

それは買い手が頭で考える以上の

大変さであろうことは言うまでもありませんが

その大変さが初さや経験として作品に表れるので

私などの素人の目にも

はっきりと見ることが出来るのだと思います

同じに見えても手に取れば

ほんの少しの形の違い

焼けた土肌の微妙な色の違いで

これが良い、こちらの方が好い、と

同じ形の器同士でも印象がまったく変わって見えます

 

今回は少し派出目な焼けの酒器 3点を頂きました

二度焼きの酒盃

二度焼きによって窯変のカセていた焦げが融け

美しい紫掛かる色味が外側に広がる

見込みの青味掛かっていたであろうグレーは

白味を帯びたものに変化し

面白いのはカセていた厚みのある焦げの部分が

所々、干割れた土が剥がれたかの様に

豪快に剥がれているところ

しかもその剥がれたところは

所謂カセ剥げの様な器胎ではなく

紫色が見られ

ちょっと備前でも珍しい景色の酒盃です

ぐい呑

筒状の作品 ( 筒茶碗やビアマグなど ) の中に

入れ子にして焼かれたぐい呑だそうで

還元が掛かり黒い部分と

緋色、金彩の乗ったもの

恥ずかしながら、高温でよく焼かれたものだと思い

伺うと、温度は低めです、とのお返事

少しばかり耐火度の低めの土です、とのことでした

耐火度が少し低いので

よりよく焼けている、ということです

まだまだまだまだ見えてませんねえ   恥

面取ぐい呑

貝目跡のコロガシ、焦げです

今迄の面取りと違う面取り

濃厚な茶胡麻に黄胡麻

濃く青味を帯びていくグレーのグラデーション

融けて流れた焦げの胡麻

そしてキラキラキラキラと輝く焦げ

このキラキラがとても美しい

普通に個展の作品レヴェルです

 

今回は 2年振りの窯焚きとなられる

鎬、面取りのヴァリエーションを増し

また窯詰めも今迄の経験を踏まえられ

土の持ち味により適うよう、引き出せるよう

大胆に、年に一、二度の大きな窯の

窯焚きであれば当然リスクはより高まる、変化させ

過去の失敗から敬遠しがちだった

腕の部分の窯詰めも楽しんでおられる御様子

それにここ数年お茶の道具に

殊に力を入れられておられるからでしょうか

どこが如何と言葉でははっきりと言えないのですが

形も面取りも、そして窯変も

以前のものより明らかに

洗練された印象を受けました

二度焼きのものも含め

焼け、景色のヴァリエーションが更に広がり

本当に一つとして同じものがない

一土二炎三作り

備前の本道であり

そこから更に更に踏み込んで行かれているのだと思います

 

安田龍彦さん ありがとうございました

 

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