楽しい敗北感でした

hirunesai2011-06-18

起っき

慌てて時間を確認

ぎぃ゛ゃやあああぁぁああ゛あ゛ぁ゛ぁ゛

10時54分

昨日夕方に電話でお約束をした時間が

10時

寝起きで声が出ないけど、大慌てで電話

すみません、今起きましたぁ

電話の向こうで澁田先生の大きな笑い声が聞こえる

平謝りに謝り、時間を13時に変更して頂く

ほんとうに申し訳ありませんでした


当然の事ながら、渡辺琢磨先生の

めっちゃ関西弁なラジオ出演も聞き逃しです


13時前、澁田寿昭先生の自宅工房へ

平謝り

笑って赦して頂けました


拝見しながらいろいろと伺う



今回の窯焚き


澁田先生、今年は2回窯を焚かれているのですが

1回目は登り窯、2回目は小さ目の丸い窯で焚かれたとか

実は先生のお師匠さんの閑山先生のところの窯だそうです


先生がお師匠さんのとろから独立された後に築かれた窯なので

この窯を焚かれるのは初めてのこと、なのですが、今回

この登り窯を酸化気味に焚かれ、見事な緋色に焼き上げられています

そしてそして、更に更に炭で還元をかけて青備前までも

なので同じ列の棚で、ある棚は緋色に白い抜けの焼き上がり

その一つ下の棚が青備前、という恐ろしいことに !

土の種類、焼成場所などと合わせて

めちゃめちゃ焼けのヴァリエーションが豊富なことに!!

すごいです !!


そして余談ですが

弟弟子の小橋順明先生も同じ閑山先生のところの窯で

煙道を酸化気味に焚かれたりしているので

これは当に、兄弟弟子対決 !

目が離せません  笑


今回は温度を上げるペースが少し早かったとか

普段は1時間に5℃くらいなのを

今回は8℃〜10℃くらい



カセ胡麻


取れ易い場所の条件

湿気が多い、炎の流れで灰が多く付く、温度が低い

窖窯だと上の方の両脇、登りだと炎の流れで湿気が集まり易い場所

(湿気は素地、薪、窯などから)


取っ手やハンドル、徳利の口などはカセ胡麻になり易い事があるので

カセ胡麻にしたくないときは、塗り土をしたり

耐火度の低い土で胡麻を融け易くしたりする



鹿肉、猪肉


鹿の肉は食べられます ? と鹿の肉と猪の肉まで頂戴する

猪は雄なのと捕った時期の関係で少し臭いが気になるかもとのこと

どちらも初めて食す肉

帰って焼肉にしておいしく頂きました

狩猟の手伝いをしたときに頂くのだそうです

先生が御自身で捌かれるのだとか


どちらも多少の臭い(鹿はややレバーっぽい、猪は独特かな)はありますが

牛の焼肉で内臓を食べる人とかレバーが食べられる人なら

そんなに気にするレヴェルの臭いではないです

鹿肉も猪肉も流石野生のもの、弾力が違いました

特に猪は、柔らかでありながら弾力があり、とってもグッド

ありがとうございます。ごちそうさまでした


猪の牙も見せて頂きました

本当に牙の先が研いでありました

意外にも牙の中は空洞


それから、頂いた猪のお写真も見せて頂きました

おいしく頂きましたよ、猪さん



片口や急須の切れ


作った人によって、切れの良いタイミングが違う

以前先生が注ぐと切れが良いのに

同じ片口で他の人が注ぐと切れがいまひとつ、ということもあったとか

道具から作者が見えてくる瞬間ですよねぇ


以前のこと

駒形九磨先生の片口の切れの良いタイミングと

オイラの手の動きが合わさったとき

自分の手が色っぽく見えたことがありました

酒器は酒呑みなのです



登り窯と窖窯


登りなのですが白胡麻のものが

胡麻が白くなる伊部の土

胡麻の決定要因の中でも、土の占める割合はやはり高い


先生曰く、抜けのところの緋色が

登りの方が少しだけ、ボワッとしていて

窖の方はクッキリとしているとのこと

だけどこれは土の種類などを考えると、区別が付けにくい

登りと窖の区別がますます分からなくなってしまいました

まあね、楽しければいいんですよ




先生や安田さんの世代を境に土が変わってくる

それでも観音土は先生より上の団塊の世代辺りまで


観音土は土が持っている色の幅がとても広く

良い焼けが狙いやすい

耐火度も低く焼き締まり易い


先生の世代くらいから土の持つ色の幅が狭い土になってきたので

狙いを付けて焼かなければ、良い焼き上がりにするのが難しい



雑木が入ると胡麻がグレーっぽくなってくる



先生のメインの土


まっ白く抜ける土、黒っぽい練り込み土

鉄分の多い土、黄色っぽい土

これらのブレンドの割合で焼き上がりを変える



7月に加古川で個展

11月か12月ごろ(の予定)に神戸でけらもすのグループ展



鶴首


出来た ! ではなく、最初に狙った通りのイメージに作れないと

かなり難しい

そうですよねぇ、ちょっとのヴァランスの違いで

全くの別物になりそう

=出来た ! のオイラには、無理  orz

まぁ、分かってるから作らんのやけど


口の形より、下のライン


首を細くすれば、穴も細くなってしまい

かと言って、薄く作れば弱くなってしまう


以前に、備前の鶴首には

プロデューサー的な人物が居たのではないか

と、澁田先生が話されていたと聞いたことがあったので

そのことについてお伺いすると

鶴首の型紙があるのだそうです

つまりは、京都とかからこういうのを作ってくれという

指示があったのだろう、とのことでした



普通の焼けのところで、どういった作品を焼くのか



むむむむむむぅぅぅ〜

ヴァリエーションが多過ぎ !

目移りして選び込めない !

嬉しい悲鳴 !

なんとか徳利1つと酒器3つまで絞り込んだけど

とか言いつつ、片口や焼酎杯にも未練が・・ああっ

でも予算的には酒器を2つにせんと・・・

(つか、予算少な過ぎ 笑)

うーん

うーん

うーん

・・・

無理 !

目移り過ぎて絞り込めません


ちゅーこって、徳利1つの酒器3つを頂くことに


白胡麻になる土の肩衝徳利と三角形の鎬の酒器

どちらも運道の正面の下の方で焼かれたもの

徳利は白胡麻だけでなく

注ぎ口、首、肩に掛けてたっぷりの黄胡麻が掛かり

正面の箆目にも黄胡麻が掛かる

落ち着いてどこか懐かしさを感じさせる雰囲気ながら

たくさん掛かる白胡麻が、明るさと華やかさを添える


白胡麻の酒器は、正面に流れる

たっぷりの白胡麻と黄胡麻が好い景色に

また、見込みに降り注いだ透明感のある白胡麻黄胡麻が美しく

底に溜まった茶胡麻と白胡麻がこれまた好い


もう一つ三角形の酒器

土は白く抜ける自然練り込み

運道の懐で焼かれているので

熾きが融けた焦げの黒と白の抜けの対比が新鮮 !

もちろん見込みにも濃い胡麻がたっぷり


残る一つは二度焼きの酒器

最初にころがしで焼かれ、二度目は普通に立てた状態で焼成

青い胡麻やピンクっぽい胡麻に焦げに濃い緋色、カセ胡麻に抜け

それらの派手な焼けの上に透明なガラス状の茶胡麻がたっぷり掛かる

透明な茶胡麻は胴の箆目や腰のところに溜り

少しシック


お値段

計 20500円

のところ

2割引の

16400円 !!

ありがとうございます


帰り際、息子さんが帰って来られる

日に焼けて、先生よりも背が高い

来年は就職だとか

頑張って下さい


先生に見送って頂き、車へ

早くも2時間が過ぎていました


今回はヴァリエーションの多さに圧倒され

絞り込めず

なんだか楽しい敗北感です

澁田先生ありがとうございました