没後400年 古田織部展

5時半の始発に乗り西に向かい、福山で乗り換え

少し荒れ、萎びた風情の福塩線の沿線の風景に旅情を感じる

石垣や古木が好い


三次駅で下車

バスに乗り10時半前、奥田元宋・小由女美術館に到着

開催中の 没後400年 古田織部展を見に


何故本日、朝も早よから出向いて来たのか ?

それはね、先日この展覧を知った折

そういえば、古田織部とは如何な人で

はたまた織部好みとはどういうものか ?

知らぬ間に何とな〜く分かった気になっているけれど

全く分かってないじゃん  orz

という事に気が付いてしまったから

どうも、モーニングのへうげものを読んでいる内に

分かった様な気になっていたみたいで  笑

だって面白いよね ? へうげもの


と、まあ、そんな感じの流れでやって参りました

でといいますか、さてさてといいますか、それでといいますか

今日は取り合えず先に結果を述べさせて頂きます

織部とは如何な人で、織部好みとは如何いったものであるのか ?




分かりませんでした !



    笑


あのね、もうね、所謂織部好みってやつがね

一世を風靡し過ぎていてね

どの辺りまでが古田織部本人の好みなのか

織部がプロデュースしたと思われる縁の品々も

実際どの辺まで製作に関わっていたのか、が分からないので

分かりません   笑


なので、私見とも呼べないどころか

単なる小並感の羅列になりますが、以下


水指やお茶碗を見て感じたのは、織部という人は

色彩に対して非常に繊細な感性のある人

また、その繊細さを大胆に用いることが出来るリアリスト

( まあ繊細と大胆は裏表ですよね )


器物の形は、女性の身体の艶やかさを

若い女性より寧ろ穏やかに線の崩れ始めた女性の身体の艶っぽさ

妻であり母である美しい女性の身体

その艶に柔和でたおやかな自然を重ねる


書にぐぅうとかぐいぃいという様な擬音をつけたくなる様な

独特の線が偶に見られる

但し力みは全く感じられない

夏草が勢いよく、だが静かに伸び盛る様な

筍が一夜にて音もなくその背を伸ばすが如くの勢いを持った線

この線が織部縁の器物にも見られる


と言ったところです

本当にね、全然分かりませんでしたよ  笑


好かった物

水指類はどれも好いですね

見応えあり、です

ある程度の数を一所にまとめて展示して下さったお陰かと

先述の織部の色彩に対する感性もですが

日本の焼き物の色彩の豊かさも改めてよく分かりました


織部柳文徳利 美濃 ( 桃山 17C初 )

地の干割れが当に水面の様で柳の絵付け

少しばかり白濁した美しい緑と共に風情があります


高取の緑釉四方形耳付水指 銘 若葉雨 ( 桃山 17C初 )

これは本当に美しい

藁灰の白に銅呈色の緑が結晶釉の様に


黄瀬戸四方入隅形向付 美濃 ( 桃山 16C末〜17C初 )

持って帰りたい。本気で

五客あるんだから一つくらい

いいだろう

ああいう朽ち葉色の黄瀬戸大好き


京都三条せともの屋町出土品、伏見城下出土品

古田織部京屋敷跡出土品 ( 3つ共に桃山 17C初 )

昔の陶片というのは本当に美しい

現代の陶磁器は数百年の後、あのように美しくあるのだろうか ?


織部肩衝茶入 美濃

唐津 肩衝茶入 銘 岩清水

高取 肩衝茶入      ( 3つ共に桃山 17C初 )

茶入は男性的かな


肩裾松皮菱扇面枝垂桜文様小袖

この時代、衣装に紅色が用いられることが多かったとか

ひょっとしたら織部がお抹茶の色を緑にし

また所謂織部釉と呼ばれる緑色の釉薬

自分の作らせる焼き物に取り入れたことと少しは関係があるのかも

紅、即ち赤色の捕色は緑色ですものね


お茶碗

美濃 鼠志野茶碗 ( 桃山 16C末〜17C初 )

もう正面の箆目といいますか鎬跡といいますか


美濃 織部桧垣文茶碗 ( 桃山 17C初 )

口辺より見込みに流れ落ちた緑釉が

絶品


美濃 黒織部百合文茶碗 ( 桃山 17C初 )

胴の締めから口へのライン

山道に始まる 3点 4点の歪みの微妙なずらし

破形部分の大胆な線


唐津 奥高麗茶碗 銘 舟越 ( 桃山 16C末〜17C初 )

繊細で微妙な色味

たおやかで穏やかな形


そしてパンフレットにも載っている

美濃 黒織部茶碗

これは若しかすると、型紙による指示ではなく

織部本人が窯場で直接その製作に関わった可能性がある

お茶碗だそうです

逞しい。特に高台から腰にかけて

高台から腰までの削り、腰部分の箆目は殊にエッジが利いている

( ライティングの妙の影響もある気がするけどね、まあ )

この展覧会に伺う前に桃山を生きた茶人なのだから

生命の力というものが感じられるはずなのではないか、と想像していた

その想像していた生命の力を感じさせる逞しさ

生命の息吹の重さをを知るもののエッジ

これが初期の織部好みではないのかなあ


展示を見終わり、グッズ売り場を見て廻っている内に

気が付けば14時前 oh・・・

展示からなんやかやで 3時間半程も見入っていたのか・・・

道理で疲れたはずだ・・・

つか、予定していたバス  orz

常設展は諦め、バス停へ向かう

帰りは広島経由にて


新倉敷で下車し、駅から歩10分程のくらしき乃湯へ

しょっぱ !

中々の塩味

思っていたより全然良いお湯でした


今日は心地好い疲れと共に寝られそうだな