桜の木

近場に桜の木があった

大きくはなく蔦などの他の木が塗れていた

数年前の春にこの桜の木が一部分にだけ花を咲かせた

木にしてみれば必死の思いでなんとか咲かせた花であろうが

見る側からするとなんとも云えぬ風情のある花姿であった

老い木の在るがままの花姿の様に

いつか写真に収めておこうと思いつつ

埒もない日常に弄ばれて機を逃してきた

今日、今年こそはとカメラを持ち見に行ったのだが

時既に遅く、その桜の木は切られていた

しまった・・・が、如何しようもない と

暫くはぼんやりとその切られた幹を見ていた

だが蔦などが取り除かれ見易くなった幹を改めて見てみると

まだそこまでは太くもなく若い感じがした

もう一度花姿を見せてもらいたい